SSW養成講座の印象をお話しいただけますか
自分は医療領域からの参加者と異分野だったもので、教育領域は難しいのではと思いましたが、ソーシャルワークの共通的な価値や技術を丁寧に押さえながら、教育分野にどう実践していくかを学ぶことができ、理解はしやすかったです。
他の修了生の方も言っていますが、同期の仲間と一緒に相互のやり取りをすることで、物事に対する受けとめ方が広がった点も講座の良さだと思います。当然ながら、参加されている方も児童分野だけでなく高齢分野など様々で、講座そのものの広がりも感じました。どの領域でも活用できるものがある気がします。 |
結果として、可能ならいつかSSWを実践したいと思えるほどでした。
SSW実習では、私は2つの自治体に行かせてもらいましたが、どこも先駆的にSSWを広げようとした中でも人の優しさを大切にするという印象を受けました。いかに子どもやご家族、先生方のことを考えて動くかを直に見られ、自分の今の仕事でももう一歩頑張ればできることもあると思うことが多くなりました。
ご指導いただいたSSWrの方とは今でも交流がありますし、講座を通じて、最先端の活動をなさる人たち(指導者)との接点を与えてもらえることに感謝しています。
講座を通して実際のお仕事に役立ったことはありますか
問題解決には、自分だけではなく、クライエントや仲間や関係機関等の気持ちや感情をシステムに取り込んでいくことで効果が出てくるという点は、この講座に出なかったら持てない視点だったかもしれません。
難しいクライエントであってもその気持ちを大切にするという点です。
そうそう、講座に関していえば、通常の研修とは明らかに違う点があります。
普通の研修だったら、参加者の感情的な部分につながるようなことは見て見ぬふりをしたり、言いにくいことってありますよね。
主任講師の米川先生は、それを“さらり”と“明るく”伝えてくれるんですよね。
もちろん、それに抵抗がある人もいるかもしれませんが、その方の進みたい方向性や考えていることをいつのまにか理解されていて、その上での言葉や行動であるんだなあ~と後から実感したものです。
そんな姿勢を見せてもらうことで、自分自身の仕事においてもこじれた事例や困難があっても誰かが推し進めなくてはいけない事例には、先生のことを思い出して対処した事例が何度もありました。
それと講座以外の部分でも、米川先生には色々な体験をさせていただきました(現在形でもありますが(笑))。
例えば、別途、認定社会福祉士制度上のスーパービジョンもしていただき、また自分自身が手探りで始めたスーパービジョンのプロセスを振り替えらせていただきもしました。
先生と一緒に自分の考えを言語化していったことはとても意味のあることでした。
結果として、それを執筆させてもいただき、貴重な体験を本当に多くさせていただきました。
米川先生が相手のことを熟慮した結果として、明確な形で私のためとなることの贈り物を下さいます。インパクトがあり、尻込みをすることも多いのですが、強い後押しを感じながら、これがエンパワメントなのだと肌で感じ学び取っております。先生のサービス精神は並外れていると思うんです。この感謝の気持ちを直接先生に形としてお返しすることはできていませんが、仕事の場面で、後輩に同様の思いを贈って行きたいと考えています。
SSWを学ぶ前と後の違いはありますか
最初は、SSWrを学校の中で、各機関を調整する者と思っていましたが、そんな簡単な解釈ではなく、家族や地域の資源開発も行ない、クライエントの声を反映、またはすくい取っていく、ソーシャルアクションに溢れた職種なんだと思うようになりました。
とくに合意形成を大事にし、エビデンスを捉えながら子どもの周辺環境を作っていく、マクロレベルのソーシャルワークでありながらも丁寧にミクロレベルのソーシャルワークをしていくという縦横無尽な動きが求められる点を感じましたね。
とくに“学校文化”がある中で、子どもが個人として尊重されるためには、子どもから発信することが難しいこともあり、即時に必要な機関とアクセスし情報を共有していく行動力が求められると感じました。
今後の課題はありますか
先端的な技術を学び、クライエントに対するソーシャルワーカーとしての姿勢は取れるようになってきたと思います。ただ、とても新しいことばかり学んでいるために所属組織や職能団体等と学びの差があり、それをどう理解いただくかの難しさを感じることがあります。
認定社会福祉士に関わる研修のあり方も東京と地元では全く異なります。
さらに社会福祉士ではない後輩も多く、意識の違いは当然ながら出てしまいます。
そのため、ライセンスのない後輩であってもソーシャルワーカーらしい意識や日々学ぶ姿勢を持てるように関わっていくことが課題だと思っています。