山口県や島根県でスーパーバイザーとして活動されてきた
岩金俊充様
により新しく新人スクールソーシャルワーカーのためのエッセンスをお届けします。
内容はいつ見ても色あせず温かな笑いさえ生みながら専門的な情報を提供してくれるものばかりです。
初回は無料、以後、半年間7回発刊(発刊のない月もお支払いが必要です)で毎月440円で購読できます。
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■第1回 新人スクールソーシャルワーカーのための活動のポイント
■第2回 新人スクールソーシャルワーカーはあいさつ回りをしましょう
■第3回 新人スクールソーシャルワーカーはケース会議をどう扱うか
■第4回 新人スクールソーシャルワーカーは先生たちに通告についてどう伝えるか
■第5回 不登校支援
■第6回 連絡?連携?の違い
■第7回 禁断のブラック
第1回連載:新人スクールソーシャルワーカーのみなさまへ
この4月からSSWrを始めるみなさんへ向けて記載していますが、ぜひ現役のSSWrの方もご確認いただけますと幸いです。
こんにちは。
平成20年度から令和2年度まで、山口県で派遣型のSSWとSVをしていて、今は島根県でSSWr・SVrをしている岩金と申します。
これから約1年にわたって、初任のSSWrにとっての心構えやポイントなどをお話ししていきたいと思います。
お一人で悩むことのないようにぜひご参考にしてみてください。
名 刺
まず、SSWrとして確認してくことは、「名刺」「名札」「稼働の時の服装」でしょう。それぞれ現任者や前任者はどうであったかを確認しておきましょう。
名刺について、「フルバージョン」は、関係機関や学校に配るもので、所属機関、役職(SSWr、主任SSWr、SSWr・SVr、など)、資格(社会福祉士、など)、名前、所属機関の住所と電話番号、メールアドレスが書かれています。
フルバージョンは、学校や関係機関、子どもや保護者へ渡します。
ケースによっては、この名刺に、個人の携帯番号やメールアドレスを記入して渡す場合もあります。
※名刺は自費で作成される教育委員会もすくなくありませんがとても重要なツールですので必ず作成されることをお勧めします。
「超限定バージョン」は、「〇〇市教育委員会・スクールソーシャルワーカー(SSWr)・岩金俊充」のみが書かれています。困難性の高い保護者や子どもへ渡す場合に使います。
私の場合は、ほとんどのケースで、子どもにも保護者にもフルバージョンを渡しています。勤務先のアドレスに、私宛のメールが届けば、個人アドレスに転送してもらっています。また、自動的に転送される設定にしていることもあります。
派遣型の場合、SSWrが教育センターや事務所にいる時は、報告書の提出や出張伺いの提出などの事務作業か、仕事(稼働)がない場合です。私の場合は、できるだけ週に2~3時間は事務所に寄るようにするのが精一杯でした。
#拠点校配置型でも近隣の学校巡回が必要であれば同様でしょう
次に「名札」です。長いひもで首にかけるタイプが多いですね。私は、それだと見えにくいので、クリップタイプで胸ポケットに掲げています。ただ、夏に、ポケットのないポロシャツの時は困ります。次の服装に関連しますが、ポケットは結構、重宝するので、服選びの時にはなるべくあるものを選んでいます。
服 装
第一印象は非常に重要です。訪問回数を重ねて家族との関係がうまく行けば、ジャージや作業着での訪問でも特に問題は生じないかもしれません。信頼関係ができれば、家族はSSWrの服装ではなく「SSWrの○○さん」という風に見てくれます。
しかし、初回訪問時に不快感を与えると、後の訪問も断られることになるので気を付ける必要があります。
以下は留意点です。
【男性の場合】
□ジャージ □作業着 □遊び着(原色のシャツなど) □サンダル □長靴 □黒や濃茶色のサングラス □無精髭(髭は剃るか、蓄えるかにします) □肩までの長髪 □寝癖・ボサボサの髪
#学校の先生を相手にする服装を念頭に
【女性の場合】
□ 丈の短すぎるスカート □胸の大きく開いた服 □華美な装飾品 □強い香水
#特に男の子のいる家庭の母親からクレームがあります。
その他、ケースによってNGがありますので、関係者と情報を共有して、不用意に地雷を踏まないようにしましょう。
最初のSSWrの初動と居場所のストレス
4月初めは、バタバタしていますよね。そんな中で、新人SSWは、「何をしていいかわからない」「することが見つからない」という、居場所のなさにストレスを感じることもあるでしょう。
初任者研修が数日間から一カ月など自治体によって様々ですが、専門職採用ということで、いきなりほうりだされることももちろんあります。研修のない場合はぜひ職能団体等の研修に参加されることも一つです。地元の関係性を作れるかもしれません。とくに他職種の方や自信のありすぎる方は再学習されることをお勧めします。ベテランの方程、過信し失敗する例は多くありますので。
#NPO法人エンパワメントでも個別研修してるそうです
#管理職経験者の方は頭を下げることにも慣れてください
また職場に机、電話、パソコンがあるかないか、移動する手段(自転車や自動車)が確保されているかどうかにより動き方は異なってきます。私物を使う場合は個人情報の扱い方のルールは必ず理解しておきましょう。
以下は配置形態ごとの特徴を示していますが相互に関連することがありますので、ぜひ確認してみてください。
【教育委員会や教育センター配置型】
4月は、職員の異動もあり、なかなかSSWrが構ってもらえないことが多いです。
継続して雇用されているSSWrは、3月からのケースのまとめや、事前に設定していた家庭訪問などがあるのですが、新人はケースが入るまでは時間を持て余すこともあります。ただ、4月を過ぎればこれまでが嘘のように忙しくなります。
私の場合は、「たった一人のSSWr職場」が何年も続きましたので、教育センターの指導主事さんと話をしたり、これまでのケース記録をまとめたり、持参したSSW関連の書籍や、ネットでSSW関連の記事を読むなどしていました。
また担当校のあいさつ回りを慣例的にしている自治体もあります。ここで、学校との関係性やニーズを理解することにもなりますが、その先の担任の先生や委員会との関わりをいかに持つかにも関わりますので、ぜひあいさつ回りは大切にしてもらいたいと思います。つまり、どの様に学校と関わった方がいいか考えていく4月になるかと思います。
【学校配置型(拠点校配置型)】
私は学校配置型の経験がないのでよくわかりませんが、中学校の臨時教員をしていた経験では、4月前半は、会議会議、そしてまた会議で、先生方は目が回るような毎日を過ごしています。SSWrもある程度は会議(委員会等;例えば、教育相談や特別支援、生徒指導等に関わる会議が多いです)に参加するようになるのではないでしょうか?
学校配置型でも週数日間で定時制を担当する場合以外は、近隣の小中学校を担当する拠点校配置型では、学校あいさつ回りをする等において他の配置形態と同様の点が出てきます。
また参加する会議等でバババッと1年間の計画などが話されます。最初はまったく頭に入らなくて焦りますが大丈夫です。新規に異動された先生方もなかなか理解できずに、実際はその都度聞いてやるしかないのですから。
学校ではSSWrは一人ですが、保健室の先生も一人です(規模により増えたり、看護師さんがいることも)。社会福祉の専門職としてぜひ関係性(ネットワーク)づくりを校内でしていきましょう。
必ず素敵な先生はおりますのでキーパーソンとなる先生を見つけることをお勧めします。
#学校を色眼鏡で見ずにいきましょう!
【登録派遣型】
一番、苦しいタイプです。4月になったら教育委員会に挨拶に行ったり、SSWrの定例会議に参加したりするかもしれませんが、「事前に時間をもらえず、依頼電話があって初めて動き始める」のが登録派遣ですから、他の配置形態以上に常に孤独感を持ちがちとなりやすいです。
未経験なのにいきなり「〇〇学校に行って、ケース会議に参加してください」と言われ、家から学校へ行ったはいいが、誰に挨拶して、何を発言したらいいかもわからず、帰宅して自己嫌悪になる。また、家庭訪問しても上手くいかず、帰宅して一人無力感に打ちひしがれてしまうこともあります。一番、バーンアウトしやすい稼働型です。
基本的には、校長や副校長からの依頼が多く、ときにコーディネーター(保健室の先生や教育相談担当等の先生方)からの依頼が一般的ですので、依頼者は誰かを確認し、会議の前後にでも挨拶しましょう。先に時間があればニーズを聞けるといいかもしれません。
いかがでしょうか。
さらに初任の方のために以下に活動のポイントを示します。
活動のポイント
❶ 無理をせず、対応できるケースに
実際に支援に入ってから、担当SSWrの都合でSSWrが交代しなければならなくなる、あるいは、「私は、家庭訪問の自信がありません」という理由で、新たなSSWrを追加しなくてはいけなくなる事態は、支援を受ける子どもや世帯にとっても好ましくありません。子どもや世帯、学校、関係者への「実害防止」のためにも、無理をせず、対応できるケースの見極めをしてください。
「子どもや保護者と面談する時間帯は?家庭訪問の時間帯は?」「生活保護の申請同行支援が必要か?」
等を、あらかじめ教育委員会や学校から確認しておきましょう。
#教育委員会によっては様々な勤務シフトがあります
#早番や遅番など
❷ ケース会議前に、学校に直接、聴き取りに行き(アセスメント)
SSWr・SVrがいれば、稼働前にスーパーバイズを受けましょう。
場合によっては学校や教育委員会のSSWr担当者の許可を得て、まずは、学校から直接アセスメントを行います。直接聴き取ることで、先生方が感じている思いや、これまでの支援の苦労や困難さの度合いを理解します。関係機関へ聴き取りに行ったり、支援を依頼したりすることもあります。
そして、SSWrや、身近なCSW、PSWへ相談したり、その地域のSSWrのメーリングリストや勉強会があれば参加して、困難をSSWr一人で抱え込まないようにしましょう。
❸ まずは、「ぼちぼち」と。
「SSWrとして、1年間継続する」ことを、今年の目標にしましょう。ぜひみなさんのお力が子ども、家庭、先生方を応援するものとなることを信じてください。
今月のコラム
• 行政:家庭訪問の際に持参されているお菓子などの手土産ですが、フードバンクを利用されてはいかがでしょうか?
• SSWr:家庭訪問の際のお土産にフードバンクを利用するのも便利ですが、個人的な経験から言えば、フードバンクなど無料の物を渡すのは、おざなりな感じになりがちです。
「訪問者が、身銭を削って、相手に喜んでもらいたいと思ったものを、受け取ってもらいたいと思って持参した」という気持ちは、必ず相手に伝わる。せめて、手書きのカードに言葉を書いて添えるとか、ラッピングを工夫するとか。難しいケースであればある程、奇跡的な好転は、こうした「真心」からしか生まれなかったように思います。可能な範囲で工夫してみてください。
#困ったらプロジェクトで購入品の助成申請が気軽にできるみたいですよ
それでは来月またお会いしましょう。
みなさまの第一歩を応援しております。
岩金俊充