今回は、修了後、約1.5年経って、修了生2人へのインタビューを同期の浦上(事務局)が行ないました~
SSW養成講座の印象についてお話しいただけますか
福島:ちょっと話がずれますが、SSWrになってから、本当に困り、頼って飛び込んだのがこの講座なんです。
今思えば、SSWを学ばなければ本当に自分勝手な活動をしていたかもしれないと思うと怖いくらいです。今でも講座で、学んだ内容を手帳として持ち歩いてもいますよ(o^皿^o)>゛。
でも、正直、講座は、すんご~い疲れたし、自分のできないところの指摘に“キャー”ということもあり、最初はしんどかったかなあ・・・(^^;)””。
とくに専門職は自己覚知が必要だと言われていますが、自分では触れなかったこと、もっと言えば触れたくなかったところにも触れなくてはならなくなったことも印象に残っています。
ただ自己覚知がしっかりでき、つまり自分と向き合うことで、様々な点が自分の欠点でもあり、逆に長所でもある!ことに気づいたことは本当に自分のあり方に影響を与えました。
これがなければ、しっかりとした専門職としての自覚は育たなかったかもしれませんね~。なぜなら、今では、あのときよりは、自分の幹の部分はぶれず、枝で柔軟に周囲に合わせ、なびくことができるようになったかなあと思います。まだまだですけどねぇぇ。
そう言えば、なんか今日、養成講座をのぞいてみたら、皆笑っていて、私たちの時よりも、もっと楽しそうで、エネルギーもらって帰る人の姿を見てすごいなあぁぁと思いました。意識のある人が多くなったのかなあぁと思いました。
堀江:確かに講座を受けているときは大変でしたし、米川先生に“く~っ(拳骨)”て思ったことがありましたね(笑)。ただ、あのときは、わからないことがあっても、あとから、またはSSWrになってからわかることが多かったですね~。
そういう意味では、自分の持っていた軸を講座を受けてさらに肉付けできたことは、講座参加の大きい部分だなと思います。面白かったのが最初に思った自分の軸やSSWr像は講座を通じて改めてそれでよかったのかもしれないと認識できた点ですね。
自己覚知では、自分の腹黒さはぼんやりわかっていましたけど、それをまざまざと自覚できた(あはははははは)(笑)。まだまだ腹黒さをはっきり出せないこともありますけどね。でも、それも大切な腹黒さかな?なんて日々反省もしながら進んでいる所です。
講座を通して実際の仕事に役立ったことはありますか
福島:“子どもに好かれるのがSSWr”でなく、“子どものためを思って動くのがSSWr”であり、本来の支援でもあるという米川先生の言葉がとても印象的でした。目的をどちらで動くかで全く異なってしまうSSWとなってしまいますしね。
まだまだ難しく、今でも悩む時もあるのですが、、、よく「その子の全てを受け入れることが大切だ」という研修があるのですが、子どものことを考えると、あるがままを受け入れる難しさがときにあり、もちろん、この曖昧さの線引きができることも今では専門職として必要ということもわかってきたのですが、あのときは、必ずしもなにもかも全てでなくともよく、将来を捉えた受け入れの節度が必要なときもあるという学びが本当に自分の視点を広げてくれたようにも思います。
初任者にとっては、“SSWrは、子どもに好かれないとだめ!”とか“全てを受け入れなくてはだめ!”という認識だけでは、つらいかもしれませんよね。もちろん、子どもとの関係性を軽んじる意味ではないことを踏まえる必要は絶対ありますが。
そうそう、講座で役立ったと言えば、『ドランゴンボール方式』は、とても面白かったです。困難を乗り越える面白さ、ネガティブな認知の転換ができる内容だったので、今も(困ったとき)たまにその考えを思い出しながら、実務に携わることもありますよ。
またSSWの動き方として、学校批判ではなく、学校内の素晴らしい先生との繋がりをどんどんつくっていくことの大切さを学び、学校との関係づくりに緊張するというより、わくわくするようになりました!こんな楽しい視点も大いに役立ちましたけね。
堀江:役立ったと言えば、今でも「コーチング」における会話の技術(アセスメント技術)で、クライエントを理解するために、その人が大切にする核となる“幹”をしっかりと捉えることは常に意識をしています。
そして、SSWrは、人の上に立ち、先生や他専門職へコンサルテーションするとか、対等な存在として意見を言うということでなく、子どもを含めた全ての人のウェルビーイングを高められるような“縁の下の力持ち”となってほしいという学びからの、その意識はいつもしているかなぁ。
ちょっと観点が変わりますが、これがなかったら表面的な現象(言動・問題)にとらわれて、幹でなく枝の情報で動いていたかもしれないですね。結果として、将来を見つめながら様ざまな人達に関わる大切さを持つようにしないと、目指す方向性もわからなくなり、自分自身がぶれぶれになるんですよね。
講座では、自分がいつもしないこと、参加者の方に演習として、専門職がすべきことだけでなく、してはいけないことを仲間の協力を得て体験を得られることから、色々な専門職としての姿勢や、自分のあり様を知ることができました。
参加者の方がよく受け止めてくださったなあと思います。先生にもそうですが参加した皆さんにも本当に感謝ですねえ。
SSWを学ぶ前と学んだ後のSSWに対する考え方の違い:SSWrになってからの気づきはありますか
福島:SSWrって、よく一人職場で、勇気のいることで、大変って言われますよね。人によっては敵の中!?なんていう人もいましたが・・・。
でも、講座受けた後は、理解してもらえる人がいない、たった一人の職場ではなく、素晴らしい先生達、失礼でなければ仲間達のいる場へいくんだぁ!という意識の差を持つことができました!
だからこそ、今では先生たちの魅力、教育への熱さの素晴らしさが、本当によくわかり、よくいる単なる表面的な教育批判者のスタンスではありません。先生たちの頑張り感、困り感、それらを理解するワーカーとしての姿勢を大切に持っていきたい、そんなふうに思っています。
ただ、先生達と共に歩んできた今では、そんな思いと共に先生方に、“先生達の素晴らしさ”をもっともっと知ってほしい、そんな思いを持つほどにもなっています。
この頃は、自分の頑張りに先生達が色々な点で逆に気を使って、くれるようにもなりましたぁ(嬉)。
それと講座前では、SSWrなんだから、なにかをしないといけない!って思い過ぎ、肩を緊張させていましたが、学習後は上記のような思いから、先生達との連携が進み、自分だけでやらずともどんどん子どもや学校が変わるのを感じることができました。だから本当に楽しい仕事と思っています。
このことは、他の専門職とも似たようなことがあって、学校によっては、様ざまな専門職との連携ができているようで、相互に理解できていないときがあります。そんなときは、SSWrとして相互が理解し動けるように再共有する機会づくりを大切にしていますし、SSWrとして皆さんがチームで動けるような点を大切にしています。
堀江:私も学校の先生は、子ども達のためにいかに果敢に教育に向き合っているか、その素晴らしさをSSWを学ぶことで実感しました。それまでは、一般的な方が持つ学校のイメージも持っていました。もちろん、実務につけば学び以上にその素晴らしさを実感したものです。
私は拠点校配置ですが、しょっちゅう先生や生徒とお話ができるんです。そんなことを通じて、校内委員会など、今では職員の一人として参加させていただくようになりました。でも、先生達とこんなに密な関係を築けるなんてと本当にあの頃は思わないほどの状況に驚いているほどです。
SCの先生方と異なり職員室に机を置いているのですが、そのことの利点としては、先生たちの日々の動きを理解できるってことなんだと思いますね。
◆SSWrとしての“やりがい”や“楽しさ”ってなんですか
堀江:そうですねぇ・・・やっぱり、子どもと遊ぶときかな。。。とても悩みを持ったり、自分のことを精一杯考えている子どもと一緒に遊ぶなんてこともあるんですが、そんな子ども達の笑顔が出るときはとても楽しいです。
それと、関わらせてもらった子どもからの温かい手紙も、とてもやりがいの一つです。もちろん全部のケースがそうなるわけではありませんが。
そういえば、以前、先生方が私を他の方へ紹介いただいたときに「一番お世話になった方です」って紹介くださったときには本当に嬉しかったですね(笑)。
福島:なんといっても関わった子どもが成長していくのがやりがいですね。
具体的には、これまで中々自分達と向き合えない子どもがまたは先生がお互いに向き合おうとしてくれた時は“たまらない~!”って感じですね。これがなきゃやってられないかも・・・。
そして、これまでの生活と違う生活を子どもが送れるようになる点がとってもやりがいですね。一方で、これまで関わってきた子どもが、自分の手から離れて自立していくときは、寂しくなることもあるんです。でもこれが、嬉しくもある瞬間なんですけどね(笑)
◆SSWrに求められるものってなんでしょうか
福島:やっぱり自己覚知ですかね。
自分の力量を理解する意識は常に必要で、自分のできないことをしっかり認めることも必要ですかね。チャレンジしたいことは誰しもあるものですけが、困難なケースが多いからこそ自分の限界を理解して関わることが必要で、一人の思いだけではうまくいかないことが多いです。
ですので、依頼があれば、子どもと直接関わる前には、しっかりとしたアセスメントが必要で、自分たちの関われる限界や義務教育内の限界など、力量の他に職務の限界もとらえていくことが必要です。
これは、安易に関わることが、子ども達に失礼であることを知れば知るほど、そこを理解する大切さを感じています。逆にいえば、自分が何をできるかの行動力がわかっている必要がありますね。
また、困難なケースに関わる専門職だからこそ、ポジティブスタンスをいかに持つかは大切だなあと思います。違う視点から言えば、子どもに対して多くの悩みを持つ先生方というよりは、子どもに対して多くの悩みを持っていただける先生方自身に、このポジティブスタンスを知っていただけるようにすることが、子ども支援だけではないSSW(“児童”ソーシャルワークでなく、“スクール”ソーシャルワーク)という醍醐味であるという認識が必要かなあと思っています。
堀江:そうですねぇ、まだまだ私が言える存在ではないんですが、学校(先生方)は子どものことで困っているけども、子どものストレングスがどこなのかをぶれずに見ていく専門職としての立ち位置を持つことでしょうか。
その困り感を出している子どもの背景をしっかりとらえ、困る行動をとる子どもの困り感を理解する姿勢、そして、子どもができている素晴らしさを本人や先生へ伝えていく姿勢ですかね。
ただなんといっても、そんな困っている子どもに、先生との関係性を取れていない子どもに、実は学校の先生達は『あなた(子ども)のことをとっても好きだったり、認めたりしているんだよぉ』という実感を持ってもらう繋ぎの役割(SSW)を持てるということがとても大切な視点なんじゃないかなあと思っています。
◆お二人にとって今後の課題とはなんですか
堀江:拠点校としてのSSWr理解をさらに深めていくために、情報発信をいかにしていくか、そして先生や保護者の方々にいかに理解していただくかが課題です。この点は、歴史のあるSCの方々から見習う点もあります。
福島:課題だらけです~(笑)。そうですね~、中でも、う~~ん、SCみたいに公に働けるようになることがベストなのか、それともどれだけ裏方で働けるかがベストなのか、悩んでいる所ではあるのですが(縁の下も、たまには研修講師等を通じて公に出されることもあり)・・・・、やっぱり自分のさらなる専門性をいかに着けていくかという点ですかね。そして、SSWをさらに経験をしてきた課題としては、自分の個性を活かしたSSWをどのように構築していくかなど考えています。
二人を大好きな米川先生も来ちゃいました!